「ムクドリ飛んできた」の意味は?すべらない話で落語家が使用

7月27日放送のフジテレビ系バラエティー特番「人志松本のすべらない話」にて、初登場の講談師・神田 松之丞さんが用いた表現に注目が集まっています。

神田さんは池袋の鰻屋を訪れた際のエピソードをピックアップし、堅物の大将や取り巻きの常連客が自身の意に反した食べ方をした客に対し「ムクドリ飛んできた~!」と嘲笑ったという話を語っていたのですが、このムクドリが飛んでくるとは一体どういう意味なのでしょう?

前後のつながりを見るに本当に鳥が飛んできたわけではなく、何かの暗喩であることは間違いなさそうですが、さりげない言い回しに「?」となった視聴者も多い様子ですので、解説を加えることにしました。

「ムクドリ」ってどんな鳥?

(画像引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ムクドリ)

そもそもムクドリ(椋鳥)自体は、スズメ目ムクドリ科に属する鳥類の1種です。

全長24cm ほどなので、おおむねスズメとハトの中間ぐらいの大きさをした鳥ですね。

その分布は東アジア(中国・モンゴル・ロシア東南部・朝鮮半島・日本)の広い範囲に及んでおり、日本でもめずらしい種ではありません。

というか都心部や人家付近に限ってよくみられ、ものすごい勢いで群れを成しながら「ギャーギャー」「ギュルギュル」「ミチミチ」といった声を張り上げるので、無視したくてもできないんですよね;

現在進行形でムクドリの糞による汚染被害や、鳴き声による騒音被害に頭を悩ませる自治体は少なくありません。

かつては河原の広葉樹や人家の竹藪に集まっていた鳥なのに、いきなり都心に飛来して社会問題化するほどの害をもたらすとは、人間が進めた無理な開発の影響とはいえ、迷惑な話です。

ムクドリの性質が転じて…!?

ちなみにムクドリは古くから日本に生息しており、「冬」の季語にも定められています。

このような点や大挙して街に押し寄せ大声で鳴くという性質が転じ、江戸時代の江戸っ子たちは「冬になったら集団で出稼ぎに江戸へやってくる、奥羽や信濃からの出稼ぎ者」たちを揶揄して、ムクドリと称していたんですね。

要は「やかましい田舎者の集団」という意味合いで、ムクドリの呼称を用いたわけです。

現在では余り聞きなれない言葉ですが、かつては日常的に登場した表現だったらしく、俳人の小林 一茶なども故郷・信濃から江戸に向かう道中にムクドリ呼ばわりされた屈辱を、俳句として残しています。

なおこのムクドリという言い回しは古典落語にも登場し、やはり「都会へ出て来た田舎者をあざける言葉」として使用されているので、落語を楽しむ際には豆知識として押さえておきたい言葉です。

すべらない話で神田さんが語った話に戻しますと、店の大将は自身を都会育ちの江戸っ子と自負したうえで、提供した料理に興ざめするような食べ方をみせた客を「粋ではない、田舎者」と見下したのでしょうね^^;

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