新天皇の即位や改元を受けて、皇室そのものへの関心が高まっていると感じます。
先日は宇多田 ヒカルさんが自身のTwitterに「日本の皇室の長い歴史の中には、女性が天皇だったことが何度もあると知り驚く」という素朴な想いを寄せ、大きな話題となりましたね。
反応の多くはシンプルかつ好意的なものでしたが、中には「ところで宇多田さんは、女性天皇/女系天皇の違いについては理解しているのかな?」と、長らく続く女性天皇についての議論につなげようとするものも見受けられました。
実際、女性天皇と女系天皇がどう違うのか、よく分からないという方も多いかもしれませんね。
今回はこのあたりの事情について、具体的に解説してみたいと思います!
女性天皇は複数存在したが…?

まず女性天皇とは、単純に性別が「女性」の天皇のことを指します。
有史以来、女性が天皇に即位したケースは何度もあって、宇多田さんが驚いたように「8人10代(なんと2回も天皇に即位した女性が2人います)」の女性天皇が存在しました。
中でも一番有名なのは、聖徳太子が摂政を務めた推古天皇でしょうか。
ちなみに推古天皇は古事記の最後に登場する天皇なので、神話と史実の境界あたりに生きた人物になります。
要は歴史の相当早い段階において、女性天皇は存在していたわけですね。
ならば今更議論を待たずとも「愛子様に即位していただくなり、今後もどんどん女性天皇を認めていけば良いじゃないか!」との意見が出てきそうですが、実は愛子様は「男系女性天皇」に当たる立場なんですよ!
女系天皇はこれまで一人もいない!
では女系天皇とはどういう意味かの説明に移りましょう。
女系天皇は「お母さんから皇族の血を引いた天皇」のことになり、女性天皇とは全く異なるものなんですね。
なおこれまでの日本において、女系天皇が即位したことは一度もありません。
今の天皇のお父さんの、そのまたお父さんの、さらにお父さんの…という具体にず~っと父方の血筋をたどっていくと、初代の神武天皇にたどり着くというのが現在の皇室であり、歴代の天皇は先ほど紹介した女性天皇も含めて、皆「男系」の流れを汲んでいるのです。
「系」というのは一本の糸のようにつながる血筋の流れといえば分かりやすいでしょうか。
よって仮に愛子様が即位するとなれば、女性天皇にはなりますが、愛子様はお父様から皇族の血を引き継いでいるので、男系の女性天皇です。
ただし愛子様が一般の男性と結婚して子どもを設け、その子が天皇に即位するとなれば、こちらはご本人の性別に関わらず、お母さまから皇族の血を受けた「女系天皇」ということになりますね。
ちなみに多くの国民は今後女系天皇を容認することに賛成のようですが、個人的には絶対に反対なんですよ^^;
女系天皇が生まれれば、今の皇室の血統自体が変わってしまうわけですから、これは相当な出来事だと思うんです。
時代錯誤といわれるかもしれませんが、以前は「女系天皇絶対反対!」との張り紙を掲げた神社等もよく見掛けましたよ。
とはいえ、大正天皇から一夫一妻制が採られるようになった以上、女系天皇の存在なしに皇室が存続するのは難しい側面もあるでしょう。
例えば15代も続いた徳川幕府だって、正室腹の将軍はたった3人しかおらず、あとはみんな側室の子どもなんですよね。
時代に関わらず、一人の女性が必ず男性の世継ぎを生むというのは容易なことではないと感じます。
ただ差別と伝統を守ることは違うとも思いますし、難しいところですね。
