今年の世相を反映した言葉を選ぶ「現代用語の基礎知識選 2019ユーキャン新語・流行語大賞」が発表され、令和初となる年間大賞は、ラグビーワールドカップで史上初のベスト8進出を果たし、列島を熱狂の渦に巻き込んだ日本代表のスローガン「ONE TEAM(ワンチーム)」に決定しました!
ワンチームという言葉は日常の会話においても本当によく耳にしましたから、多くの方が納得できる選出といえそうですね^^
その一方で何気なくワンチームと口にしながらも、「具体的には、どういう意味なんだろう?」と、首を傾げている方も多いように見受けられます。
私自身も正確な言葉の説明を求められると、答えに窮してしまいますね。
そこで今回は今更尋ねづらい「ワンチーム」という言葉の意味について、じっくり掘り下げてみました。
「ONE TEAM」に込められた意味は!?
ONE TEAMという言葉は、直訳すると読んで字のごとく“一つのチーム”と解釈することができるでしょうが、少し補足を加えて「一つにまとまったチーム」と捉える方がより分かりやすいと考えます。
そしてこの“一つにまとまったチーム”を意味するスローガンは、実に6か国もの海外出身者が入り交じる日本代表の結束力を高めるワードとして、一種の「合言葉」のように引き合いに出されることとなりました。
そもそもラグビーは外国籍の選手も一定の条件を満たせば国の代表になることができる、“国籍の多様性”に柔軟なスポーツです。
それゆえ、例えばサッカーや五輪の日本代表は日本国籍を持つことを代表の条件とする「日本人の代表」なのですが、一方のラグビーは「日本で暮らし、日本でプレーする選手の代表」と捉えることができるでしょう。
同じように、外国出身の選手は他のラグビー代表チームにも多く存在しています。
しかしながらラグビーというスポーツがそこまでメジャーでなかったことや、日本が島国ということも相まってか、国内では当初「ラグビーの代表って外国人が多いよね。自国の代表として思い入れが強まるかというと、微妙」といった声もささやかれていました。
そういった冷ややかな意見は試合を通じて、チーム内の信頼関係や献身的なプレーが見る側にも伝わるうちにかき消されていったわけですが、当の選手たちが真に“ワンチーム”としてまとまるまでにも、様々な苦労があったことは想像に難くありません。
「ONE TEAM」は一過性の言葉ではない
そもそもワンチームという言葉は、1995年の南ア大会を機に世界中へ広まりました。
アパルトヘイト(人種隔離)撤廃後の自国開催で、南アが初出場及び初優勝を飾ったことにより「ワンチーム、ワンカントリー」というチームスローガンが、国内外で脚光を浴びたかたちです。
そう考えるとやはりこちらのスローガンにも、想像を絶するような苦難の歴史・人々の叫びといったものが込められていることを実感できますね。
なおこのたび代表選手の一員としてワンチームを築き上げた稲垣 啓太選手は、流行語大賞を受けた囲み取材で、率直な喜びを口にすると同時に「今まで4年間、みんなでつくりあげてきたチームカルチャー、文化というものが、ラグビー界だけじゃなく、全国のみなさんに認知されたことがうれしい」と語り、ここに至るまでの“過程”が認められたことが一番だと強調しました。
同じく堀江 翔太選手も「僕らはワンチームというキーワードを出していましたが、ワンチームという言葉だけでワンチームになることは絶対、ないと思います」「ワンチームが浸透していくのはうれしいですけど、どういう風にワンチームにするかというのが大事でしょう。中身の部分をしっかり考えて使ってもらったほうがいいのかな」と、流行の言葉としてワンチームの表面をなぞるだけでなく、その真意を知ってほしいとの考えを示していましたね。
実際にワンチームという言葉は非常に深みのある表現だと感じるので、勢いでもてはやして一過性の流行語にとどめてしまうのは違うのかな、という気はします。
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